OLIVE/GALAXYトップページへ  
ここから本文

観測・成果編

OLIVEの実験成果

衛星のポインティング較正

人工衛星「はるか」は口径8mという大きなパラボラアンテナを宇宙空間で展開しました。このアンテナを使って天体の電波を受信するためには、100分の1度という角度精度でアンテナの向きを測定し、天体に対して正しく向ける必要があります。
衛星本体は自分自身の姿勢を十分な精度で測定する方法を持っていますが、アンテナの向き(ビーム方向)は衛星の姿勢だけでは正確に決定することができません。そのため観測天体を使ってビーム方向を測定・修正する必要があります。これがポインティングと呼ばれる作業です。

概要図

ポインティングは、相模原管制センターにいる操作員が、衛星に向けて姿勢制御の「コマンド」を送出することで行います。衛星を正しく天体に向けるには、衛星の観測データを見ながら作業することが必要です。しかし管制センターでは衛星からの信号を受信することができないため、OLIVEによる実時間伝送が試みられました。光回線によって観測局と管制センターを結ぶことにより、衛星から送られてくる観測データ(のスペクトル)を常に監視しながら、衛星に対してコマンドを送ることが出来るようになります。

1997年3月、観測データの実時間伝送に成功してすぐにポインティング実験が行われました。このとき使われたのはW49Nという、わし座の方向にあるメーザ天体です。衛星はW49Nの方向とその上下左右にそれぞれ0.5度離れた位置を観測し、その観測データは臼田を通って相模原管制センターへ伝送されました。
そして相模原では無事にスペクトルを再現し、その強度の変化と衛星の姿勢から、ビームの向きを100分の1度の精度で正しく 天体に向けることに成功しました。
このポインティング実験はその後も繰り返して行われました。


<ポインティング>
ポインティングのためには「メーザ」と呼ばれる天体を使います。メーザ天体は特定の周波数に強い電波を出しており、データ解析装置(デジタルデータ分光計)でスペクトルを観測すると、特定の周波数に 輝線が観測されます。「はるか」をこのメーザ天体に向け、さらに姿勢をわずかな角度だけ上下左右に(※宇宙に上下はありませんが)動かします。
すると衛星の姿勢が変化するにつれて、受信した電波のスペクトルが変化します。ちょうどビームがメーザ天体の方向に向いている場合に輝線スペクトルは強く、ビームが外れるにしたがって輝線スペクトルは弱くなります。この変動を調べることで、天体に対して「はるか」を正しく向けることが出来るわけです。

<<- 「はるか」の実時間データ伝送に成功   データ多重化装置 ->>


ここからフッター