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観測・成果編

OLIVEの実験成果

世界最高速(1Gbps)の実時間VLBI実験に成功

実験の内容と結果

 実験は、通信総合研究所鹿島の34mアンテナ、宇宙科学研究所臼田の64mアンテナを使って、2001年6月23日に行われました。観測時間は06:30-1430(UT)で、観測天体は3C273B、3C279、NRA0530、いて座A*の4天体でした。

 VLBIデータの取得は1ビット/サンプルで、1024メガサンプル毎秒のサンプリングを行い、データ速度は1024メガビット毎秒でした。観測周波数は8080-8592MHzの512MHz帯域、偏波はRHCP(右旋円偏波)でした。臼田でサンプルしたデータは磁気記録せず、VLBI-ATMインターフェイスによってATMセル化し、臼田−NTT武蔵野−鹿島間を結ぶ超高速ATM回線(回線規格はSTM-16)によって実時間で鹿島まで伝送しました。鹿島では、臼田から送られてきたATMセルをVLBIデータに復元し、自局で取得したデータとともに相関処理しました。相関処理はGICO(ギガビット相関器)を使用し、実時間で行いました。なお、鹿島では両局の観測データをGBR(ギガビットレコーダ)によって記録しました。

 伝送回線による遅延時間を補正するために、GICOによる相関処理に先立ってソフトウェア相関処理が行われました。両観測局から伝送されたVLBIデータ10Oミリ秒分をコンピュータ内に取得してソフトウェア的に相関処理を行い相関フリンジを検出しました。得られたフリンジから伝送回線による遅延時間を計算しその補正値をGICOによる相関処理に適用して、連続的な相関処理を行うことに成功しました。


観測結果(観測天体:3C273)

->> フリンジが現れる様子 [GIFアニメ:287KB] ※別窓が開きます


実験の意義

 従来のVLBI観測では磁気テープを使用し、記録速度は256Mbpsでした。超高速デジタルネットワークを使った実時間VLBI観測は通信総合観測所の首都圏広域地殻変動観測VLBIシステムで世界に先駆けて研究・実用化されました。このシステムでの最高データ速度は256Mbpsでした。1Gbpsという超高速データ伝送・相関処理による実時間VLBI観測は世界初です。

 1Gbpsという超高速の実時間VLBI観測に成功したことは、今後のネットワーク型VLBI観測に対する先駆的な業績と位置付けることができます。

<<- 実験の概要

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