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OLIVEの概要GALAXYの概要電波天文学とVLBI超高感度天体観測計画

プロジェクトの概要

電波天文学とVLBI


電波天文学とは

宇宙・天体からくる電波を観測し、宇宙や天体でどのような現象が起きているのか、どのような物質から出来ているのか、どのような構造になっているのか、そのような研究をする学問です。

電波天文学では主に次の天体を研究しています。

->> 観測対象の天体
->> Galaxyの観測成果


電波干渉計とは

電波望遠鏡を2台またはそれ以上を同時に使って一つの天体を観測します。すると観測した天体の微細な構造を知ることが出来ます。それぞれの電波望遠鏡の間隔(基線)が広いと天体のより細かな構造を観測できます。観測する電波の波長をλ、電波望遠鏡の間隔をDとすると、観測できる構造の大きさ(分解能といいます)θはおよそλ/Dとなります。

それぞれの電波望遠鏡で観測した信号は、通常は同軸ケーブルで伝送され、一カ所に集められて相互相関処理されます。いわば「ヤングのダブルスリットによる光波干渉実験」を電波で行うわけです。相互相関処理を行う装置(相関器といいます)の中で干渉縞が得られます。この観測形態を電波干渉計といいます。


VLBIとは

電波望遠鏡の間隔を広げていくと、より細かな天体の構造を観測できます。しかし100kmを超える間隔にもなると、同軸ケーブルで観測信号を伝送することはほとんど無理になります。

そこで発明されたのがVLBI(Very Long Baseline Interferometry:超長基線干渉計)です。VLBIでは各電波望遠鏡毎に観測信号を磁気テープに記録して、観測後に相関器まで運送します。これで電波望遠鏡間の間隔には事実上制限がなくなりました。


VSOP(スペースVLBI)とは

電波望遠鏡の間隔(基線長といいます)をどんどん広げていくと、地球の直径にまで到達します。もっと天体の細かい構造を見るためには、もっと基線長を伸ばす必要があります。そこで始まったのがVSOP(スペースVLBI)計画です。

1997年に打ち上げられた電波望遠鏡人工衛星「はるか」により世界初のスペースVLBIを実現しました。基線長は地球の直径をはるかにしのぐ3万kmに達し、分解能は角度の1度のおよそ1千万分の1となりました。たとえると月面におかれた40cm程度物の形を判別できるほどです。


VLBIの観測成果

高分解能という特長によって、VLBIは活動銀河核の中心構造や天体メーザーの観測などに活躍しています。

※ 活動銀河核とは遠方の銀河の中心部で強力なエネルギーを発生し、ジェットを噴出したりする天体です。その中心部分には、太陽の1億倍もの質量を持つ巨大ブラックホールが存在していると考えられています。

※ 天体メーザーとは、星間ガスが量子力学的な反転順位となって強力な輝線放射の電波を放射している現象です。水蒸気(H2O)や水酸基(OH)などのメーザーがよく観測されます。天体メーザーは生まれたての星の周囲や一生を終えかかっている恒星の周囲でしばしば観測されるため、恒星の誕生や末期の研究に役立ちます。


VLBIの弱点

世界に普及しているVLBI観測装置では、磁気テープに128メガビット毎秒の速度で観測信号を記録します。

VLBIは天体の構造を超高精度で観測することを可能にしました。しかし128メガビット毎秒という磁気テープの記録速度は、観測データのごく一部を記録できるにすぎません。記録しきれない大部分の観測データは捨ててしまうしかありませんでした。その結果、VLBIの観測感度、つまり暗い天体を観測する能力は弱かったのです。


光結合VLBIとは

近年の光回線を用いた通信技術の向上により、超高速データ伝送が可能になってきました。2ギガビット毎秒という、磁気テープの16倍もの高速なデータ伝送も実用化されてきました。

磁気テープの代わりに光回線を使って、観測信号を電波望遠鏡から相関器までリアルタイムに伝送できたら、VLBIの弱点である感度の低さを克服できます。

1995年、NTTと天文台の共同研究として光回線を使ったVLBIデータの伝送実験が開始されました。これがOLIVE(Optical Linked Vlbi Experiment)です。



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