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観測・成果編

OLIVEの実験成果

臼田と野辺山の2Gbpsデータ伝送

OLIVEの目指すもう一つの方向は、より高速にデータを伝送し、高感度のVLBI観測を実現するというものです。現在のOLIVE/GALAXY実験におけるデータ伝送速度は128または256Mbpsですが、敷設されているデジタル光回線網のデータ伝送容量は2Gbpsもあります。現在は回線の能力の1割程度しか使っていないわけです。
データ処理は実時間化されて様々なメリットを生み出しましたが、観測感度という点では磁気テープを使ったものと違いはなかったのです。逆に言うと、回線容量を全て使うほど大量のデータを伝送できれば、かつてない高感度の観測が実現できるわけです。

これまでの実験におけるデータ伝送速度が磁気テープ使用時と変わらなかったのは、磁気テープ記録を前提として開発された装置を使用していたことなどが原因でした。
そこで回線容量を全て使うように設計されたデータ取得・伝送装置を新規に開発しています。

概要図

 

観測信号の流れ

アンテナで受信された観測信号は次の順に処理されます。
 「アンテナ→受信機→サンプラ(A/D変換)→光端末→光回線→光端末→相関器」
このうち、これまでの実験でデータ量のボトルネックになっていたのは サンプラ、光端末、相関器です。このうち、サンプラと光端末を新規に開発しました。
出来た装置が「ギガビットサンプラ」と「ギガビットATM伝送装置」です。


伝送実験

これらの装置を使って実際にデータを伝送する実験を、2000年2月に行いました。 天文台野辺山観測所内で、受信機出力信号を模擬したアナログ雑音信号を発生させ、それをギガビットサンプラでデジタル化し、さらにギガビットATM装置で光回線に送り込みます。 光回線はNTT武蔵野研究所内で折り返す(上り回線で送ったデータが下り回線で戻ってくる)ように設定されていました。
実験の結果、デジタル化・伝送されたデータは回線内を1往復し、野辺山観測所内で見事に元のスペクトルを再現しました。 こうして成功したギガビット伝送実験は、今後のギガビット実時間観測の基礎技術としてそのまま応用することが出来る、重要な成果となりました。


2Gbpsデータ実時間相関

2Gbpsのデータを伝送することには成功しており、次はこれらの装置を各観測局に配置して、実際に観測を行うことが目標となります。そのためには相関器の新規開発や様々な基礎実験を行うことが必要になります。
これらの問題を解決して2Gbpsの実時間観測が実現すると、世界最高の感度で、まだ誰も見たことがない微弱天体のVLBI観測を 行うことが出来るようになります。

<<- 地上局−地上局実時間相関テスト


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