OLIVE/GALAXYトップページへ  
ここから本文

OLIVEの概要GALAXYの概要電波天文学とVLBI超高感度天体観測計画

プロジェクトの概要

超高感度天体観測計画

VLBI天体観測における感度

VLBI観測における天体検出感度は、電波望遠鏡の口径、観測データ速度の平方根その他のパラメータに比例します。口径が大きく、観測データ速度が速いほど、暗い天体まで検出できるわけです。

GALAXYに参加する電波望遠鏡は臼田の64mをはじめ、野辺山の45m鹿嶋の34mと、世界的なレベルでも大型のものです。したがって現状の観測データ速度256Mbpsでも世界最高レベル(約10ミリジャンスキー)に達しています。しかし現在は2/8GHz帯で同時観測を行っているため1つの周波数帯あたりのデータ量は少なくなっており、また電波望遠鏡の能率も低下しています。観測データ速度を2Gbpsに向上させ、観測周波数帯も1周波数帯(8Ghz帯)に絞って電波望遠鏡の能率を最高に発揮させると、感度は現状から一桁近く向上し、1〜2ミリジャンスキーとなります。これは 世界最高の感度です。

一方、天体の物理的な性質と結びついたパラメータ=輝度温度に対する感度 という考え方があります。輝度温度とはごく簡単にいえば天体の温度であり、例えば6000度の太陽の場合は輝度温度も約6000度となります。一般にVLBI観測では角度分解能が非常に高いため、明るくて小さい(輝度温度の高い)天体の細かな構造は観測できますが、暗くて大きな天体に対しては高すぎる分解能が災いして全く何も検出できなくなってしまいます。
これは非常に輝度温度の高い天体、つまり温度の非常に高い天体しか観測できないことを意味します。その結果、世界的に行われているVLBI観測では1億度といった温度の非常に高い、いわば特殊な天体しか観測できません。


GALAXY観測網は基線長(電波望遠鏡の間隔)が最大でも200km程度と、VLBIにしては短い基線長です。そのためやや広がった天体の観測にも対応しています。2Gbpsでの超高感度で、しかも200kmの基線長で観測すると、輝度温度が1万度の天体も検出できます。

では、1万度の温度の天体とは、どんな天体なのでしょう?

実は太陽のような恒星の温度が約1万度なのです(太陽は恒星としては小さめなので6千度程度ですが)。恒星に照らされた周囲の電離ガス(HII領域)の温度も約1万度となります。

これまでのVLBIでは全く観測できなかった電離ガスなどの「熱的天体」には、恒星コンパクトHII領域惑星状星雲などがあります。

熱的天体のVLBI観測が実現すると、様々な「世界初」の成果を生み出すことが期待されています。


ここからフッター